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February 28, 2005

正しい地名復興運動(正名復興運動)

<正しい地名復興運動> (略称「正名復興運動」)宣言

     発起人・世話人  地名情報資料室  楠原 佑介
     発起人同人     横浜歴史文庫   桜井 澄夫

世界中が嘲笑(わら)っているぞ?!

 日本人は「バブル再来を狙っているのか?!」

 昨平成16年秋の11月4日、ロンドン大学大学院(建築学専攻)留学中の日本人女子学生・N嬢の訪問を受けました。N嬢は『日本人の空間認識』というテーマで博士論文を準備中、との由。彼女の拙宅訪問の第一目的は、「昭和37年制定の住居表示に関する法律は初めから、地名を口当たりのよい名称に変えて地価を吊り上げるのが目的だったのかどうか、小生の見解を尋ねたい」ということでした。曰く、
 ①欧米の知識人の間では、昨今の日本の地名政策について、強い違和感、危惧の念が広まっている。日本では政府の主導ではなく民衆・一般市民がこぞって歴史ある地名を忌避し、何やらチョコレート・ケーキの商品名のような甘ったるい新名称を狂ったように命名しはじめている。何か変だゾ……、と感じているらしい。
 ②欧米の知識人たちは、「日本人はバブル経済の破綻を今なお処理できないでいるのに、またぞろ地名をいじくるのは「バブルの夢をもう一度」という願望が根強くあるのではないか。
 ③そもそも、日本人の空問認識は我々ヨーロッパ人とは相当異なっているのではないか。
 N嬢の指導教官(イギリス人)は、おおよそこのような主旨から、彼女に論文テーマとするよう助言したといいます。実際に欧米では、為政者と民衆が共同歩調をとって熱狂的な行動を起こすことには警戒しが強い。とくに人類共通の普遍的原理と思われる事項に対しまったく異なる基準を適用しようとする動きには、鋭く拒絶反応を示し、反発するという伝統があります。
 その一例は、1924年、ソ連ボリシェビキ政権によるサンクト-ペテルブルグ→レニングラードほか一連の地名改称政策に対し、「この政権、この個人崇拝は我々の市民社会、我々の文化圏の範疇外だ」と確信したようです。1966年、中国で毛沢東指揮下の紅衛兵らが『毛沢東語録』なる小冊子を手1こ半ば武装蜂起する形でそこいら中の街路名を政治スローガン風の名称に強制変更していった事態にも、「中国はどこへ行こうとしているのか?」と大きな危慎を抱いたはずである。
 紅衛兵による改名の嵐とほぼ同じ時期、日本では住居表示による地名変更が進行していた。欧米の知識人たちが当時、東洋の歴史と伝統ある2大国で同時進行していた地名変更に、共通の要素を見いだしていたかどうか、確認はしていない。しかし、中国の狂乱は“4人組追放”で終息し、紅衛兵が命名したスローガン風街路名もあらかた旧に復された。ところが日本では、「虚名による地価吊り上げ→偽ブランド地名による土地バブル現象」について本質的な反省はついになされなかった。そして今もなお、合併新市名命名という同工の愚行が各地で日夜、繰り返されている。
N嬢に対しては住居表示問題ほかの関連資料を提供し、さらに明治以降~今日の合併新市名問題に至る我が国の地名政策の欠陥(いや本当は欠如と呼ぷべき)を説明し、「住民・市民がこぞって地名変更・新命名に狂奔する事態は、実はそんなに古いことではない」と申し上げておきました。
明治の町村大合併の時にも全戸の意見を聴集した例はいくつかあったが、住居表示や合併のさい「住民の意向」次第という風潮が定着したのは、実は昭和42年の住居表示に関する法律の第1次改正で同法第5条4項に「・…・住民にその趣旨の周知徹底を図り、その理解と協力を得て行なうように努めなければならない」と定められたことによる。一見、民主的で何の問題もなさそうな文章ではある。だがこれ以降、当局は原案(ロクな案ではない)を住民に説明し同意を取りつけるなどという面倒な作業よりも、いっそ住民に新地名(市名)案を考案させれぱよい、と気づいたらしい。かくて、“住民の発案・合意”のもとに、質的にも量的にも人類史上空前の地名改悪・新命名が実行されることになった。
 欧米の識者が危惧する「バブルの招来」は日本人の本質に根ざすものではなく、戦後日本の政治家・行政的にも人類史上空前の地名改悪・新命名が実行されることになった。
 欧米の識者が危慎する「バブル願望」は日本人の本質に根ざすものではなく、戦後日本の政治家・行政官の地名への無知と歴史哲学の欠如に起因する(その程度の指導者しか持てなかったのは、日本社会のどうしようもない民度の低さであり、あらゆる局面で欠陥が露呈しているのになお政治構造・行政機構の改革政策変更が行われようとしない硬直した社会構造は指摘されてもしかたないが……)。

 時代遅れの“国際標準”にしがみつく愚

 欧米列強は大航海時代~帝国主義時代の数世紀間、原住民の土地と地名を奪って自国の植民者を入植させ自国語の地名を命名していった。自らの所業を棚に上げて今さら何を宣うか――という疑問もあろう。しかしイギリスに限ればこの疑問には返答がすでに用意されている。大英帝国はインドを植民地化したのち、インド全域の測量調査を開始した。そして1852年、ヒマラヤ山中の1峰が世界最高峰と判明、当時のインド測量局は現地名がないものと即断、イギリス人測量局長官名を採って、Mount Everest と命名した。ところがその直後から本国では、綿密な地名調査抜きに個人名を採って新命名することに異論が噴出した。6年後の1858年、インド測量局は現・パキスタンのカラコルム山脈の測量に着手、測量地記号のK(カラコルム)2峰が2年後に世界第2位の高峰であることが判明したものの、測量担当官名や登山家の名は山名に採用されることなく、K2という記号のままに今日に至っている。つまりイギリスは、いつでも、「2世紀以前はともかく、我々はその後、地名選択墓準を改めている(山名に限ってだが)」と釈明できるわけだ。
 その点、遅れて植民地経営に乗り出した日本は、日露戦争後に獲得した南樺太でロシア語地名を抹消したのは当然としても、アイヌ語ほかの現地語旧地名を復活するか、新規に日本語地名を命名するか議論が煮詰まらないまま妥協的に双方を混在させる結果になった。欧米列強が捨てた古い基準を後生大事に踏襲し、結果として新しい国際標準から大きくそれてしまい、批判の対象となる愚を犯したのである。

 21世紀は「旧地名復興」の時代

 旧ソ連の個人崇拝的地名変更に倣って、第2次世界大戦後に成立した北朝鮮やベトナムなどいわゆる“社会主義国”でも、権力者の意向に沿った形の地名改称が盛んに行われた。現在も同じ政策を継続しているのは、これら時代遅れの“旧・社会主義国”と日本だけである。いや、その規模と程度の悪さで見れば、世界中でひとり日本だけが歴史を破壊し伝統を踏みにじる地名変更を続けている、といっても過言ではない。欧米の識者が「日本異質論」に傾くのも、あながち“先入観に基づく偏見”とばかりは片づけられない。第2次世界大戦後、植民地支配の桎梏から逃れて独立を達成したアジア・アフリカの新興国では、旧・宗主国の言語で命名された植民地時代の地名を自らの言語の自らの地名に戻す動きが燎原の火のごとく広がっていった。当然の話で、自国語の地名を取り戻すことは民族自決・民族自治の第1歩にほかならない。
 その動きは今や国名・州名や都市名だけでなく、山名・川名・滝名など自然地名にも及ぼうとしている。近年、台湾の独立派の間で「正名運動」というスローガンが叫ばれている。「中華民国」という実態と大きく乖離した国号を捨て、実態に即した「台湾」を正々堂々と名乗ろうという主張である。我々は台湾独立運動には関与しないが、台湾を実質統治する政府と人民が正しく「台湾」を名乗ろうとするのは、ここ半世紀世界中で実行・認知された「正しい地名を復興する動き」の一環と見るならば妥当至極な話であろう。
 我々もまた、現今日本中で蔓延している歴史的伝統的地名の破棄→根拠なき新地名の命名という愚挙に、「正しい地名を復興する運動」を展開して対抗しようと決断した。平成の大合併において狂ったように乱造された新市名、かつての住居表示の嘘つき地名の処理ほか明治以来の確たる理念なしに策定されたさまざまな地名の破綻を修復し、世界に誇るべき日本の歴史的伝統的地名を復興することを究極の目的としたい。
 地名知らずの浅薄きわまる議論が横行している現況では、短期間に政策変更を実現できるとは楽観しておりません。しかし各都道府県1人(望むらくは各市町村1人)の心ある有志が協力して、データ整理と論理展開を進めれば、やがていつの日か「正しい地名」の復興も可能になると信じます。

 地名復興運動同人を募集します!

 格別な地名知識は不要です

 正しい地名を復興したい、という志と熱意ある同人仲間を募集します。地名研究の実績ある方はもちろんですが、そうでない方も歓迎します。日本の地名、そして世界の地名政策の現状については、必要にして十分なデータを提供します(ただし、コピー代・郵送料などは受け取る方が各自ご負担ください。1対多数の関係になりますので、小生の財政事情では無料配布には耐えられません)。

<同人会員にやっていただくこと>

 *すでに施行済の合併新市町を含め、新市名・新町名決定の経緯を暴露する。全国至る所で、過去―現在―未来の地域のあり方、あるべき姿を熟慮した上ではなく、ごく些細な目先の利害感情や根拠なき泡(バブル)のような繁栄願望によって、稚拙きわまる新名が選定されています。首長や議員の知的レベルはこの60年間の戦後民主主義の情けない結末でもありますが、特に許せないのは大学教授(学長クラスも含めて)ともあろう連中が肩書きだけの“カラ権威”を嵩に愚名選考に手を貸している事例が多数出現しています。首長・議員と“まやかしの有識者連''がどの段階でどのような発言を行い、いかにして“愚名”実現に尽力したか、その経緯を詳らかにしていこうではありませんか。
 * かつて住居表示の町名変更に対し当局の委嘱を受けた御用学者から、「昔からの地名・町名については自分らがきちんと調査・記録した。だから市民(区民)のみなさんが古い町名を調べる時には何  も不都合もない」という発言が相次ぎ、結果として根拠なき新町名を住民に受け入れさせる“露払い”の役目を果たしました。地名・町名は、記録を残したから変更してよい、というものではありえません。ただし、今回の合併新市名の決定された経緯を記録し公開することは、次の3点で重要と考えます。
   ① 愚名がいかに粗雑で稚拙な論議によって決定されたか、住民一般および全国に公開し、その根拠なきことを後世にわたって訴えてゆく。
   ② 同時に、新名の代案として歴史的伝統的地名の中からもっとも妥当な「市名代案」を提示し、どちらがまともかを問いつづけ、より妥当な歴史的伝統的市名復活の道を開きたい。
   ③ 愚かな新市名を個別に論じるだけでなく、全国を総覧できる資料を作成し、全国いや世界中の心ある人々に、「こんなことが許されてよいのか?」と訴えつづけてゆく必要もある。
 * 「正しい地名を復興する運動(略称・日本正名復興運動)」は志を同じくする者が対等に連携する同人組織とし、会費などは徴収しません。同人会員同士の連絡はインターネット・電話・郵便物などで行い、経費は各自自己負担とします。同人仲間から資料などの提供を受ける場合は、コピー代・郵料などは受け取る側の負担を原則とします。
 * 同人が調査・研究した成果をより広く世間に公開するため、目下いくつかの出版社と継続的に刊行していただくよう交渉中です。実現した場合、刊行物の著作権は執筆者個々人に属します(印税はページ割りにて執筆者個々人に支払われます)。
 * 現在もそうですが、将来、よりまともな地名政策が行われるような法体系・行政組織が整備された段階でも、行政を監視する各レベルの「民間地名委員会」が必要になります。市民社会は、権力者に対する不断の監視抜きには実現されません。現在の日本社会では、中央・地方のあらゆる行政局面で官僚という名の権力執行者の権力濫用・枉法・不作為、はては不法な利得・利権漁り.・不正行為が横行しています。これは国会議員ほか各レべルの議員・首長の驚くべき無能さ・無責任さによるものですが、数年に1度の選挙でコト終われりとする国民の側にも問題があります。民主的な社会は、「権力は  常に腐敗し、いつでも間違いを犯しかねない」という前提に立ち、国民・市民・民間側からの不断の監視と代案提示によってのみ健全に機能します。地名問題も同じで、より高い次元で物申しつづけるに足る研鑚が望まれます。「正しい地名を復興する運動」同人には、現在も将来も各レベルの民間地名委員会の中核メンバーたるべく、自己研磨と相互批判の精神を望みます。

地名情報資料室・楠原佑介個人の活動方針

 以上のような「正しい地名復興運動」の趣旨を実現すべく、楠原個人と地名情報資料質は当面次のような活動を展開し、」同憂の志を同じくする個人・団体と協働したいと考えます。

 ①新市名(地名一般も)110番(別称「地名何でも電話相談」)

 今から20年余り前、「地名を守る会」と訣別し新たな運動形態を模索していた数年間、東京・神田神保町の3坪の個人事務所を拠点に「地名110番」を開設しました。月に2、3件の相談を受け、可能な限り応答いたしました。住居表示の町名変更をめぐる住民からの相談が主でしたが、どう見ても市側案のほうが妥当で、住民側の願望は無理筋という例もかなりありました。そうした相談者には、私は地名が大切なので、無条件で住民側に立つわけではない、と告げ理解を求めました。この姿勢は今日まで変わっていません。

地名110番  048-781-7231
(楠原自宅=地名情報資料室 Fax兼用
午前中はH.P.の管理に専念しますので午後~夜10時ごろまで。
留守のときは留守電またはFaxを。

 なお、今回の「地名110番」は20年前と比較すれば、電話代・郵料が格段に安くなった点、またFaxやH.P. Eメールなどの通信・連絡手段が利用できる点、はるかに効率的になろうと期待しています。
 *電話相談は住民一般からも市町村合併協議会担当者からも受け付けます。合併新市名問題だけでなく、地名全般についても回答します。新市名の場合、それまでの経緯(概略で結構)を説明していただき、何が問題なのかが判明すれば、即答できる部分は即答し、調査・検討が必要な場合は数時間ないし中1日ほど後に再度電話を掛け直していただきます(H.P.またはEメールで返答も可)。
 相談はもちろん無料。電話代は相談者発信分は相談者負担、当方から折り返し掛け直す分は当方負 *ただし、相談内容(要約)と回答の著作権はすべて当方に属します。相談者がその著作物などに当方の回答を使用するときは、便用形態や文章を明示し、事前に当方の了承を得てください。また掲載分には「楠原佑介による」などとクレジットを明記してください(掲載刊行物1部を小生宛に納付のこと)。
なお、小生の意図するところと異なる趣旨で使用される場合には回答文の使用を拒否するこどもあります。また小生の複数の回答文などを集成して有料刊行物にされた場合には当然、著作権に基づき原稿料相当分を請求することもありえます。
 当方はいくつかの相談・回答を編集し、H.P.上に掲載したり有料出版物として頒布する権利を有します。住所・氏名を名乗った相談者には当該出版物を各1部あて呈上します。(出版物に掲載する場合、必ず事前に連絡しますので、その際、相談者の氏名を匿名化するかどうか)、ご指示ください)。いずれの段階においても住所・氏名を明かさなかった相談者には、事前の連絡も完成出版物を呈上することもできません(送付しようがない)。

 ②正しい地名復興運動同人募集要綱

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* 左にご記入の個人情報は、あくまでも楠原がH.P.を管理・運用するためのデータであり、第三者には公開しないことを約束いたします。もし万一、漏洩して被害が生じた場合、楠原がその全責任を負うことを約束いたします。

* Fax,I.P.phone,H.P.およびEメール未開設の方も参加できますが、郵便だけでご連絡する場合は、数日間の時間差が出ることをご承知ください。

* これまで地名関係の著作・論文執筆などの実績のない方ももちろん参加できます。たとえば、合併新市名の代案を考える場合、角川『日本地名大辞典』や平凡社『歴史地名大系』各巻を参照することになりますが、どの項目をどう見てどう判断すべきか、アドバイスします(楠原は、4月から読売・日テレ文化センター柏教室で「地名鑑定士養成講座を開講しますが、必要な方にはその講義内容をご送付いたします。ただし、コピー代・郵送料はご負担ください)。なお、地名辞典類は各自が所蔵する必要はなく、近くの公立図書館をご利用される形で結構です。

* 地名情報資料室H.P.のご利用について。
 ・地名情報資料室H.P.は楠原佑介が主宰します。いつでもご自由にご覧ください。考えの近い方同士で互いのH.P.をリンクしあうことも大歓迎です。また、ご批判・ご意見は自由ですが、地名情報資料室のH.P.には書き込みはできません。別記のEメール・アドレスにご送付ください。回答が必要なものには、可能な限り迅速に対応いたします。また、H.P.に掲載すべきご意見かどうかの判断は、楠原にお任せください。
 ・地名情報資料室のH.P.にご意見を匿名で載せたい方は、ご自分のベン・ネーム、および簡単な自己紹介的な肩書き(例=「地名研究者」「地方公務員」など)をご指定ください。
 ・ちなみに、楠原個人は掲載文の内容により「楠原佑介」のほか「iいちゃもんの守文句云ふ介」の別ペン・ネーム(の全部または一部)を適宜使い分けます。

   平成17年(2005)3月11日      地名情報資料室・楠原佑介

 *地名研究の実績ある方だけでなく、「本当の正しい地名を取り戻したい」という志ある方は誰でも同人になれます。小生のEメールまたはFax、郵便にて登録お申し込みを(住所・氏名、電話・Fax番号、H.P. Eメールのアドレス、過去の地名研究実績ある方はその概略、匿名希望の方は使用ペンネームを明記のこと。ただし、匿名だけの方は連絡のしようがないので、会員にはなれません)。
 *すでに出版社1、2社から、「現在進行中の合併新市名を分析・採点した批判本を出せないか?」という引き合いが来ています。小生は静岡県ほか数県分はすでに試験的に原稿化しており、残りの県分も1人でやってできなくはありませんが、ここは広く全国にアピールする意味でも多数の人々に参画していただいて、大きな「流れ」を作っていこうと思います。
 *現在のところ、全国で14~15名ばかりの賛同・参画が得られる見込みです(当方から具体的な誘い掛けはまだしていませんが、相当数の相手からかなり熱心な手紙をいただいています)。本当は、各県1名以上が望ましいところですが、やがて参画希望者が増加し、大きな流れにできると期待しています。

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